春になってから、店頭では胃の症状と歯の症状が出ておられるお客様が非常に多いです。
なぜ、これほどまでに多いのかを考察いたしますと、今年の土運太過(どうんたいか)の運気が関係しているのではないか感じます。
2024年の土運太過の年は、消化器系、すい臓、胃などに負担が偏りやすい年になります。
春は肝の働きが高まり、土運であるすい臓や胃の働きが抑えられやすくなる季節になります。
この2つの相加作用で胃の不快感が出やすくなっているのではないかと思います。
また、ここ数週間、歯茎や歯の痛み、腫れを訴えるお客様も非常に多くなりました。
こちらも土運太過の運気によって「腎」が抑えられている影響が出ていると思われます。
腎が抑えられれば、腎が主っている骨や歯の働きも当然抑えられます。
また、歯茎は胃の状態がよく現れる場所(足の陽明胃経:ようめいいけい の経絡)です。
上記にも書きましたように春は胃の働きが抑えられやすい季節ですので、歯の根元である土台の歯茎の働きも抑えられ、歯の症状が出やすくなると考えられます。
冷たい物や甘い物、体調管理にも十分お気を付け下さい。
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2024年2月4日〜4月15日までが春になります。(4月16日〜5月4日までは春の土用になります)
春は冬眠していた動物は目を覚まし、山の雪は溶け出し、木々も芽を出し始めます。
春は生命が生まれ育ち、活動が始まる季節です。人も自然の流れに沿って、冬に溜め込んできたものが芽吹いて表に出てきやすい時期です。
「内臓の鏡」と言われる皮膚に、冬に溜め込んできた食生活のトラブルが皮膚のトラブル(かゆみ・乾燥・吹き出もの・湿疹)となって出やすくなります。
また冬は春に向けて静かに溜め込む時期ですので、冬に無理して体に負担をかけていた方は、春に疲れや眠気、イライラ、うつなど体調不良として症状が出てきやすくなります。
漢方では「春の時期は肝が旺(おう)する期節(正式には期の字を使います)」と言います。
今年2024年は土運太過(どうんたいか)の影響がありますので、胃や血に熱がこもるような余分な飲食物は控えるように致しましょう。例えば、チョコレートやお菓子全般、砂糖の多い食べ物(和菓子や洋菓子、ジュースなど)、もち系の食べ物、味の濃い物や刺激物(唐辛子など)を指します。
春に働きが高まり頑張っている「肝」ですが、その土台になっている関係性・場所が土運(すい臓や胃など)になります。
つまり2024年は土運太過の年で、土運にエネルギーが偏りやすくなっている影響は、肝にも伝わりやすくなるということが予測できます。以下の春に出やすい症状も例年以上に感じやすくなる恐れがありますので、体調管理には十分お気を付けください。
春は肝臓が頑張っている季節になります。肝臓や筋肉、目、自律神経、胃腸に無理のかかりやすい季節になります。
●転勤や入学、就職など環境が変わりやすく、ストレス(肝に影響)を受け、気持ちの乱れや不眠がでやすい時期
●筋肉(肝)の疲れ、だるさ、歯ぐきの痛み・こむら返り・ひきつり・眠気が出やすい時期
●目(肝)の弱りが出やすい時期(疲れ目、ものもらい、なみだ目、アレルギーなど)
●膀胱炎(膀胱の春風邪)が出やすい時期
●胃の症状やお腹の症状、便の状態が変化しやすい時
花が咲いたり芽が出たり生命が誕生する季節ですから、体温が上がり妊娠しやすい季節とも言われています。ぜひ体の原料や力を貯金していくことが大切です。
また土から芽が出るように、人間も体の中のものを芽吹こうとしていますので皮膚の守りが少ないときでもあり、風に当たりすぎると体調を崩しやすい時期です。ちょっと暖かくなってきたからと言って、薄着したり冷たいものを飲んだりしないように、春冷えに気をつけて下さい。2月の今日からするとまだまだ敦賀は雪が残り、気温も真冬並みなので薄着する方はいらっしゃらないと思いますが、これから暖かくなってきても…ということで注意しておいて下さい。そしてお酒を飲みすぎたり、偏食や睡眠不足、ストレスは特に肝臓を弱らせますので、気をつけて下さい。
健康や漢方薬のことでお悩みの方はお気軽にツルガ薬局までご相談下さいませ。
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さて今年も次年の運気を書かせて頂きたいと思います。
私たちの体は季節ごとに変化していることはご存知のことと思います。春は肝、夏は心、土用は脾(ひ:すい臓のこと)、秋は肺、冬は腎の働きが高まります。
これとは別に、その年の運気というものがあります。1年を通しての影響です。2023年は火運不及(かうんふきゅう)の年(2023年2月4日〜2024年2月3日まで)でした。2024年は土運太過(どうんたいか)の年(2024年2月4日〜2025年2月2日まで)になります。
土運太過の年は、土を表す「すい臓や胃を中心とした消化器系、肉付き(肌肉:きにく)、土台、口(唇)、乳、涎(よだれ)、化(万物を生化)、黄、土用、中央、甘味、湿、味、久座、噦(えつ:しゃっくり)、香(かんばしい)、歌、信、意(智)、思などの感情等」の働きが強まる、力が余る、過剰になりやすく、偏りができやすく、無理がかかりやすい年と言えます。
もう少し細かく解説して参ります。
土運太過の年は、信用や信頼、忠実性が強まり、道理や真理を見極め正しい判断をする力は弱まりやすい年であり、意思や思考・集中に関わる働きに偏りやすく、信念や記憶力に関わる働きは低下しやすい年でもあります。
自然界では土の気が強まる年ですから、土から育つ農作物や木々や植物の育ちが例年以上に激しく豊作のものも多い反面、過ぎることで反って不作や栄養不足に陥りやすくなる可能性もあります。土が強すぎることで水の潤いが不足しやすく、干ばつや土壌のアンバランス化を招き、その影響は動物や家畜、人間にも出てくると考えられます。地震や地盤の変化、岩石や山林、広く見れば海や川も全て土の上に流れていますから、ここのエネルギーが過剰になり動きやすく不安定になると考えられます。湿の影響も大きくなりやすい年です。また、バランス的に水運(すいうん)が抑えられやすく、金運(きんうん)も乱れやすくなりますので、海水温上昇(温暖化)、線状降水帯、津波や洪水、砂漠化、感染症や自然・経済・環境・世界情勢などの変化が激しくなることに対しても注意が必要です。
土運太過の年は、「化」の力が高まることで新しいものが生まれたり、今まであったものが劇的に変化する年になると言えます。また一方では基礎的・基盤的な部分や、基本の原則・原理に関係する分野は力強さが増すと考えられます。また「中央」の力が強まる年ですので、社会的・経済的・権力的な立場や場所や人に例年以上に偏りが出やすくなる年でもあります。
肉体的に見ていきますと、すい臓や胃、飲食物の入り口である口から始まり食道や十二指腸、小腸、大腸、出口である肛門までの消化器系全般、両腕両足、体の肉付き、乳などの働きが過剰になりやすくなります。力が高まることを考えれば、食欲が増したり、消化吸収機能が高まり、規則正しい食生活が出来ている人や栄養バランス等の管理が徹底され体を労わっている人にとっては、体調は良くなると思われます。しかし、暴飲暴食など不規則な生活などをされている方にとっては、口内炎や口角炎、口の中の症状や病気(涎やしゃっくり等も)、歯茎の症状、のどから食道、胃にかけての症状(食道がんや胃がん、胃潰瘍や胃の不快症状など)、十二指腸からすい臓、腸の症状(腸内環境の乱れや便秘、下痢等)や病気(潰瘍性大腸炎や憩室炎(けいしつえん)など)、乳がんなど、例年以上に症状が出やすくなる危険性があります。
土運太過の年は、胃に熱気がこもりやすいので、体に余分に熱をもちやすいような食べ物は食べ過ぎに注意しましょう。例えば、もち米類(おもちやあられ、せんべい等)、チョコレート類、味の濃い物(塩分が強い物、甘いお菓子類、わさびやトウガラシなどの刺激物など)の取り過ぎには注意して下さい。熱がこもり、気が痞(つか)えてくると、腫物(はれもの)や膿(うみ)も出やすくなります。吹き出物やおでき、ニキビ、歯肉炎や歯槽膿漏、歯茎の膿みや腫れ、ものもらいや目の症状、痔、前立腺炎などにもつながりやすくなります。血にも熱を持ちやすくなりなり、瘀血(おけつ:血液の古く濁ったもの)もできやすくなります。
前年の2023年は火運不及(かうんふきゅう)の年で、心臓や小腸、血液の働きが弱まっておりましたので、ここから助けられてしっかり働ける土運(胃やすい臓中心の消化器系)も本来の働きが発揮できず、胃と腸の不調は起こしやすいと考えられます。胃の体調、お腹の体調には十分に気を付けていきましょう!
またバランス的には腎系が抑えられるため、腎系の働きである「腎や膀胱、前立腺、子宮卵巣、骨や歯、関節、髪、耳、下半身、足腰、膝、骨髄、甲状腺、脳、精力、ホルモン系、生理・妊娠・更年期、成長、生命力などの力」は弱まりやすくなります。これらの箇所に病気をお持ちの方は、例年以上に体調管理にお気をつけ下さい。長い立ち仕事や下半身を冷やしたり、甘いお菓子などでさらに弱らせることのないようにしましょう。
精神的に見ていきますと土運太過の年は、色々なことに対して考え過ぎたり、思い込みが激しいと、体と心のバランスを保ちにくくなる年だと言えます。体力のない方は、悲しみや不安を抱きやすく、自律神経の乱れや神経過敏、焦りや落ち着かない気持ちになりやすく、泣きやすくなったり、あくびが出やすくなります。体内に熱エネルギーが多い方は、のぼせや充血、イライラや興奮の感情が出やすくなります。
またバランス的に恐怖や驚き、不安、呻(うな)りの感情が顕著になりやすく、血が弱い人は恐れやすく神経質になりやすいと思われます。腎が不安定となることで、腎の気が上に衝き上がりやすくなり(奔豚気病:ほんとんきびょうと表現されます)、下っ腹から喉や頭まで急な気の突き上げが起きたり、不安や心配、恐怖観念がもとになっている精神症状(うつやパニック、引きこもり、ノイローゼ、心配性など)や、動悸や脈や呼吸の乱れ、てんかん発作のような肉体的な症状も引き起こしやすくなると考えられます。不調を感じたら早めに整えられるように、ご不安な方はぜひご相談下さい。
人の体の経絡(けいらく:気血の通り路)への影響を見ていきますと、土運は足の太陰脾経(たいいんひけい)と、足の陽明胃経(ようめいいけい)の養いを受けております。あまり難しくならないように簡単に書かせて頂きます。太陰脾経は、足の親指の内側から上に上がり、下腹や生殖器、胃などの消化器系をめぐり、胸の外側を上り、心中にも影響しながら咽(のど)まで通っております。また陽明胃経は、目から下に鼻や口の周り、あごから耳、こめかみ、おでこまで上る通路と、のどから鎖骨近辺に下りて、胸の乳腺から胃、腹部、そけい部から足の前外側を下り、膝を通り、足の人差し指まで通っております。土運太過の年は、ここを中心に偏りが出来やすくなります。
生活上の注意点と致しましては、「久座(きゅうざ) 肌肉を傷(やぶ)り 脾(ひ)を労(ろう)す」 と言われます。
座る時間が長いことで肉が弱り、すい臓や胃などの土運が疲れて無理がかかってしまう、ということを現す言葉になります。お仕事上、生活上、座り時間がどうしても長くなってしまう人は、少しでも体を動かすことを意識していきましょう。また同時に長い立ち仕事などで骨に無理をかけ過ぎないようにも気を付けるようにしましょう。
「思の太過は脾を傷る」とも言われます。あまり深く考え思い込み過ぎないように、塞ぎ込みすぎないように、気分転換やプラス思考を心がけましょう。
甘味のものは脾胃に入ります。お菓子や菓子パン、ジュースなどの余分な甘味の影響は例年に比べて体調不良の大きな原因になることが考えられます。また胃が例年以上に頑張る年ですから、単純に胃に負担をかけることにも注意が必要です。暴飲暴食や噛む回数が少ない、塩辛いものや激辛のもの、味の濃い物が多くなり過ぎないようにも注意して下さい。
もう一つ、土運太過の年は湿の影響が大きくなります。例えば湿気の影響を受けやすい人というのは、鼻炎持ちの人、川や海などの水の影響を受けやすい人、新築の鉄筋コンクリートの建物に住み始めた人、夜のお仕事をされて日中は出歩かない人、スポーツなどで汗をかいた後に冷たい水分や果物、お酒などを取り過ぎてしまった人、汗をかいた後に風を当てて体が冷えてしまった人、長靴を履いて作業する人、雨風の中で仕事をする人、水回りの仕事をされている人、クーラーなどの冷気によく触れる環境にある人、体が濡れてしまう習慣がある人、神経痛や関節痛がある人、天気によって体調が崩れやすい人…などがいらっしゃいます。体を冷やさないこと、湿気が溜まらないようにする養生と一緒に、湿気取りの漢方薬もございますので、ご不安な方はお気軽にご相談下さい。
土運太過の年に最も体調を崩しやすくなると言われている季節は、土用になります。
土用は年に4回あります。(以下が2024年の土運太過の年の土用になります)
春の土用:2024年4月16日〜5月4日
夏の土用:2024年7月19日〜8月6日
秋の土用:2024年10月20日〜11月6日
冬の土用:2025年1月17日〜2月2日
季節の変わり目となる土用には、例年以上に体調管理にお気を付け下さい。
2024年もどうか皆様が、元気で幸せな方向へ進んでいけますように(/ω\)
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昨日の続きとして書かせて頂きます。
処方箋でも咳止めの薬が大変よく出ております。医療用の咳止め薬は注文しても全般的に品切れや出荷調整されており、入荷のめどが立たない状況です。昨日もTVでニュースにもそのことが取り上げられておりましたが、全国どこでも大変な状況なのだと思います。これから冬に向かいインフルエンザや風邪の更なる流行が予測される中で、やはり治すのはその人自身ですので1人1人が養生をしていくことが何よりも大切なことだと思います。処方箋でも1ヶ月以上咳が長引き、吸入薬やアレルギー薬、ステロイド薬等が追加されている人が増えているように感じます。
その中で、もう一つ症例をご紹介させて頂きます。
『30代男性 咳が1ヶ月以上長引いている 夜横になると咳が激しくなる 日中も咳が出て仕事に差し支える(接客業) 病院へ受診して検査しても特段異常なく 咳止め薬と痰切り薬が処方されるだけ これらの病院薬を服用してもほとんど咳変わらない 体がしんどい 自分では体を冷やさないようにしたり、早く寝たり、間食も取らず、食事にも気を付けているのに全く治ってこない 今までこんな経験はない 毎日寝て起きる朝方にだけ首から上を中心に汗が出て枕が濡れるほど(この後着替える)』
この方も以前から何度か漢方薬をお出ししたことがある方で、少し体質的に腎臓が弱い方です。きっかけは睡眠不足が元で熱が出てきて風邪のような症状になり、今は咳と鼻だけが長引いているということでした。いつもなら体を休めて養生をしていれば徐々にでも治ってくるところが、今回は1ヶ月を超えても症状の改善が無く、逆に咳き込みが激しくなっているような感じもあるということでした。
30代の若い男性なら、養生していれば普通なら徐々に治って良くなってくるべきところなのに長引いて治ってこない、この原因を疲れと取り、労復病(ろうふくびょう:疲れてなかなか元の状態に回復できない病)に載っている脾胃を補いながら肺の熱をさまし咳込みや逆上気(ぎゃくじょうき:気が上にこみ上げてくる)を治す竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)と、今年は火運不及で血の力が弱っていることから疲れが回復できてこない大元の原因を過労と亡血(ぼうけつ:血が弱り失われるほど弱っている)として捉え四逆加人参湯(しぎゃくかにんじんとう)も一緒に飲んで頂くように致しました。1週間分お出し致しました。
1週間後にご来店されご様子をお伺いすると、以前より良い感じはするがまだ咳は治まっておりません。
普通の状態であればこれで治まってくるイメージなのですが、病が相当深いことが分かりました。
改めて今の状況を詳しくお聞きしていく中で、日中(午前中)くしゃみをすることがあるということと、朝起きてから痰、薄い鼻水が出る、というところから冷えていることが分かりました。自覚症状としては寒気も、手足の冷えも全くありません。ご本人様は温かい飲み物しか飲まず、水分量も取り過ぎないように気を付けており、防寒もしっかりして、湯船もつかり、生ものやヨーグルトなどの冷蔵庫の中のものは一切取らない、クーラーなどにも気を付けて冷えないように徹底していますので、全く冷えは感じておりません。しかし、証としては冷えていると私は考えました。咳の出方も普通ではないほど激しいので、胸の痛みはなく、脈も浮滑(ふかつ:ういていてクリクリと力強い感じ)ではなかったですが、状態を浮滑、小結胸(しょうけっきょう:胸に熱と水が結して固まっている)として捉え、小陥胸湯(しょうかんきょうとう)と、桂姜棗草黄辛附湯(けいきょうそうそうおうしんぶとう)をお出し致しました。
数日後にご来店されご様子をお聞きすると、ほぼ治りました!とのことでした。
もらってすぐ飲んだところ咳き込み回数が顕著に減り、また2〜3時間経つと咳が多く出だしてくる、なのでまた飲むとすぐに回数が減る、1日3回のところを1日5回ほど飲み、日に日に回復していき4日ほど経って今はようやく治ったような気がする、職場の人からも咳が辛そうにしていたのに、薬を飲んだら明らかに回数が減りよく効く薬だね!と言われたほど 今は咳もほとんど出ず症状もないのですがもう少し飲んでおいた方がいいものか、どうでしょうか? と尋ねられました。
症状もほぼ無かったので一旦様子を見るようにお伝えしたのですが、すぐ翌日に来店され、また激しい咳が出てきたということで同じ処方を5日分お渡しいたしました。ほぼ治っている状態からまた咳き込みが出てきたという事は、まだ完全に取り切れていなかったという事になるかと思います(本人にも確認し養生などはしっかりとしているとのことでした)。
お渡しした翌日にご様子をお伺いした所、やはりこの漢方薬ですごく咳が楽になりほとんど出なくなる、とのことでした。
さて、ここで昨日の症例と本日の症例を見ていく中で私が感じたことを書かせて頂きます。
(※少し専門的になりますので興味のある方のみお読み下さい)
今年は火運不及(かうんふきゅう)の年です。血の力が弱まると言われている年になります。
血の力が弱まれば、脾胃の力も弱り、肺や皮膚の力も弱ります。また皮膚は冷えやすくなります。
今年は夏の暑さが長く続き、クーラーや冷飲食物の影響も大きく、そこに急に朝晩を中心に気温が下がり涼しく秋らしくなりました。皮膚の守りは相当弱り、皮膚の親である肺からの咳や鼻水は出やすくなると考えられます。
腎臓は心臓や血液の力を土台としておりますので、本日の症例の方のように腎機能が元々弱い方は今年は体調を崩しやすいと思われます。
恐らくこれらの影響もあり、ここまでひどく長引く咳になったのではないかと推測します。
昨日の症例の人、本日の症例の人にお出しした漢方薬で共通する処方が「桂姜棗草黄辛附湯(けいきょうそうそうおうしんぶとう)」になります。
これは漢方の教科書である金匱要略(きんきようりゃく)では水気病(水、むくみの病)で出てくる処方になります。
あまり難しくなるのも良くないのですが、この処方は麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)という処方と桂枝去芍薬湯(けいしきょしゃくやくとう)が合わさっている処方になります。麻黄附子細辛湯は傷寒論では少陰病(しょういんびょう)に出てくる処方になります。少陰病は手の少陰心経(しょういんしんけい)と足の少陰腎経(しょういんじんけい)に影響が出る病なのですが、簡単に言うと、腎臓や心臓の血液循環の力が弱っている人に良く使う処方になります。
今年は心臓の血液循環の力が弱り、その影響で腎臓の土台も弱るとされている年です。➡麻黄附子細辛湯
ここ1〜2週間ほどで急に秋らしくなり皮膚は思いのほか冷えを感じやすくなっております。➡桂枝去芍薬湯(太陽病処方:皮膚に陽気を補います)
この2つの影響を考えれば、少し水の症状(鼻水など)があっても(水気病にも効く処方ですので)、この桂姜棗草黄辛附湯が合う方が多いというのも納得できるところかもしれません。
何かお困りごとがございましたらツルガ薬局 松原店までお気軽にご相談下さい♪
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ここ最近咳が長引いている人が多くいらっしゃいます。
今回はいくつかの症例をご紹介しながら考察を書かせて頂きたいと思います。
『40代男性 前日の夕方から急に鼻水が出るようになり、鼻詰まりと倦怠感を伴い、喉痛が出てきそうな感じ
トイレに全くいかない(いつもなら午後3〜4回程行くところが1回)、冷えは自覚無し
とにかくポタポタ垂れる大量の鼻水を何とかしたい、また長引いてこれから熱が出てきたり進行しないように早く治したい 』
原因を探ると、特別なきっかけとなることはありません。
ただ、ここ数日から急に秋らしくなり朝晩気温が下がってきている中で、まだ半袖で過ごしておられます。
またお聞きすると冷たい飲みものは気を付けて取り過ぎないようにしているというものの夏と同じような生活はされているようです。
桂姜棗草黄辛附湯(けいきょうそうそうおうしんぶとう)をお出し致しました(+瑞芝、ルミン、コンク)。
この方はいつも漢方薬をお出ししている方なので体質は分かっております。
今の秋の時期、肺の働きが頑張っており、皮膚の守りも同じように頑張って守ろうと働いております。その時にご自身では冷えを感じていなくても意識していなくても、体は感じています。その冷えは体表面の一番外にある皮膚がセンサーとなり外気として冷えを受けます。皮膚が冷えれば、その親である肺も冷え、それが腎膀胱系に伝わり(相生:そうせい 助け合いの関係)、トイレの回数が減ったと考えました。皮膚が冷え、腎臓から水分が正常に出せなくなれば、水は胃にあふれ肺に上り、肺の上部の出口である鼻から漏れます。これが止まらない鼻水です。小青竜湯(しょうせいりゅうとう)もこのような時にお出しする漢方処方にはなりますが、この人の場合は、小青竜湯では十分温まらないほど冷え方が強く(昔同じような時に単独では効かないことを経験済み)、附子剤がある方が回復が早い人です。それだけ肺気が元々弱い(お腹特に大腸系が弱い体質)人なので、附子の表を実して陽気を増す生薬の力が必要になると考えられます。
もう一つ付け加えますと、とにかく皮膚を温めて補いたかったため、桂枝と麻黄の2味が外を中心に働く小青竜湯よりも、桂枝湯(けいしとう)や麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)などの処方をベースにした今回の処方に致しました。桂枝湯は体の土台である脾胃(ひい:胃を中心にした消化器系)を補いながら皮膚に陽気を与える漢方薬になります。小青竜湯の五味子(ごみし)や乾姜(かんきょう)よりも桂枝湯の生姜や甘草や大棗を優先致しました。また小青竜湯中に入っている麻黄(まおう)は表(ひょう)の裏、ちょうど血脈のところを温め、毛穴を開き発汗を導く働きもありますので、血の陽気(血液の力)が低下しないようにも考慮しての処方になります。
長袖を着て頂くこと、おかゆで胃をしっかり温めることなどの養生法もお伝えして漢方薬を服用頂きました。
夜中に少し熱っぽくなり喉や鼻のあたりに痰などの熱感がこもったということでしたが、一番辛かったポタポタ垂れる鼻水の方は翌日には嘘のようにしっかり止まったとのことでした。2日目の午前中に喉がイガイガしてきて咳が少し出るという事で再度ご相談を頂きました。もうその時には、冷えもあまりみられなかったため桔梗湯(ききょうとう)を追加してお出し致しました。
数日後にご来店頂き治ったことをご報告頂き、詳しくその後の経過も教えて頂くことが出来ました。
桔梗湯は1包服用しただけで喉のイガイガと咳は治まり、夕方前くらいになると大変喉が渇いてきて大量に水分を取り、その後はすごく調子が良くなり、いつの間にか治っていましたとのことでした。
漢方の教科書「傷寒論(しょうかんろん)」の条文にもしっかり載っているのですが、この喉が渇くという現象は風邪を治していく上で非常に大切なことになります。簡単に言うと、体の土台となっている脾胃に陽気が戻ってきている印になります。これを作っていかないとなかなかこの時期の咳や鼻は治りません。この人はほぼ聞いていると2日で治った感じですが、養生がしっかりとされて、漢方薬や飲食物も徹底されていたため、2日で陽気を戻すことが出来たということになります。
本日はここまで、明日また続きを書かせて頂きます。
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2022年12月某日 50代の男性のご相談です。
目が見にくい、というご相談でした。
お聞きすると、パソコンやスマホをずっと長時間見ていると一般的に目がショボショボしてきて、目のピントが合わなくなり
目を開けてられない状態になってきますが、そういう状態が朝起きた時からある、ということでした。
視界が少しぼやけていて、パソコンを少し使う仕事なので画面が見にくいため何とかしたいというご相談でした。
ご自身では思い当たることはないが、強いて言えば年末で忙しいことくらいで、
それ以外はいつもと変わらない生活をしており、特段目を長時間使った記憶もない、
今までになったこともなく、病院の薬は何も飲んでいない
さて、この方もご自身では原因が分からないという事なので、そうすると運気とこの時期の影響を考える必要があります。
まず目は肝臓の状態が反映される場所です。また物を長く見たり、心気(心臓のエネルギー)を使う場所でもあります。
肝臓では血を蔵(ぞう)し(貯蔵)、心臓では血を巡らせています。
つまり血液の状態が現れる場所とも言えます。
冬の季節は心気が抑えられやすい時期になります。
また年末の忙しさから心気不足もありそうです。
また2023年は火運不及の年で心気が弱りやすい年であり、その影響はもうこの冬に現れてきておりますので、
これらを考慮して問診すると、小腸の弱りがありました。
小腸は心臓の表です。表裏の関係から、心臓の弱りが目の症状を出しているのではないかと予測できました。
心気を補い、小腸の熱気を通じる漢方薬を3日お渡し致しました。
後日、ご来店された時にご様子をお聞きしたところ、3包(3回)ほど飲んだところで、その日のうちに治りました!とご報告頂きました。
それ以降は症状は出ていないようです。
この方も、来年の運気(火運不及)の影響が絡んでいる症例でしたので、ここに書かせて頂きました。
心・血が弱らないように、十分気を付けていきましょう。
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2022年12月某日
40代女性の頭痛の相談です。
いつもは生理に絡んでの頭痛があった時は、子宮の熱を和す漢方薬で良くなる方です。
数日前から頭痛があり、いつもの漢方薬では頭痛が楽にならないというご相談でした。
原因はご自身では思い当たることがないということでした。
先日書きましたが、2023年は火運不及(かうんふきゅう)の年で、血液・心臓・循環力が弱る年です。
もう11月頃からその影響、弱りが出ている人が多くいらっしゃいます。
手足の冷えもあり、少し疲れがありそうな様子が見えましたので、傷寒論・金匱要略の条文(4か所に掲載)が頭に浮かびました。
参考)太陽病中64条、厥陰病48条、臓腑経絡先後病14条、嘔吐噦下痢病39条、(可発汗6条)
「傷寒医下之続得下痢清穀不止身疼痛者急當救裏後身疼痛清便自調者急當救表救裏宜四逆湯救表宜桂枝湯(太陽病中64条)」
この条文の状態を基本とし、応用としてこの方に合った漢方処方に変えていきます。
亡血(ぼうけつ:血が弱った血虚よりももっとひどく弱って血が失われほろびそうなほどの状態)を補う漢方薬を最初にお湯で溶いて服用して頂き、その後に血の冷えを補い表の気を巡らしてあげる漢方薬を服用するようにご説明いたしました。
あとから聞いた話なりますが、1〜2時間もしないうちに足の裏が温かくなり、手も温まり、汗が出て、頭痛も良くなりました、とご報告頂きました。
効いたということは、考え方と体の状態の捉え方が間違っていなかったということですから、やはり来年の運気の影響もあり、またこの時期の冬の心血が抑えられる状態も関係していた、ということが分かります。
2023年は特に心臓と血液を弱らせないように気をつけましょう!
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先月(2022年11月)にご相談された30代男性の症例になります。
舌の根本の裏側に出来物ができて唾を飲み込むだけでも痛みがあり、1週間以上経つが治る気配がないので、何とかしてほしいというご相談でした。
痛みの程度は非常に激しく、寝ているときでさえ無意識にだ液を飲み込むときの舌の動きで痛みが出るため、ぐっすり眠れないほど
今までここまで激しい舌炎は起こしたことがなく、舌の根本にもこれほど大きな出来物(キズ)はできた経験はない
痛みが激しいことと、全く良くなる気配がないので、舌ガンではないかと不安に思い、病院へ受診するもガンの心配はないと言われ塗り薬だけもらうが一向に良くならない
舌以外、気になる症状はなし
やはり原因が大切ですから、お伺いしたところ、いつもと特に変わったことはしていないし思い当たることはない、とのことでした。
お聞きしているうちに、やはり舌の症状が出てくる前は、少し食べすぎ、ラーメンなどの偏りがあったように感じました。
食欲もあってよく食べて、冷えはないですし、時期的に11月7日以降の冬に入ってから出てきていますから、
体のバランスでみると心や小腸、血液、脈系の働きが抑えられる季節の影響がありそうです。
ストレスは本人はあまりないということでしたが、血液の熱と心気(しんき:心臓や血脈を正常に働かせる気)不足を考え、
四黄瀉心湯を3日分お出ししました。
3日後にご来店
飲むといい感じがするが、まだ痛いし小さくなって来ない、とのことでした。
もう症状が出て10日ほどになります。
食事や生活の養生はしっかりされておられます。
それでもまだ治ってくる感じがあまり見られません。
この人は今までも漢方を何回かお出しさせて頂いておりますので、体質はある程度把握しております。
若くて冷えは無いのですが、表の陽気は少し弱っている感じが見えます。
舌は粘膜であり、体の表面を覆っている皮膚を大きくみれば唇、口内、舌も皮膚の一部です。
表の陽気が弱れば、皮膚や粘膜の治りも悪くなります。
そして今年は木運太過(もくうんたいか)で肝に熱がこもりやすくなります。
血に熱を持ち、心気不足になると、肝にも熱を持ちやすくなります。
心も肝も血液の状態がよく反映される場所になります。
最初にお出しした四黄瀉心湯の状態は必ずありますから、これらを考慮して心ではなく肝の方に中心にいく処方を考え、3日分お出し致しました。
3日後ご来店
相当良いです!かなり治りました!と、喜びのご報告を頂きました。
処方を変えてからは舌の傷が日に日に治ってくることが実感できたとのことでした。
その後3日分同じ処方をお出しして、激しかった痛みが完治致しました。
さて、この方の症例・ご相談を受けてすごく勉強になったことがあります。
それはその年の運気です。
2022年の木運太過のことを考慮したことで処方変更ができたことと、
いつもと同じようなことをしていても、ここまで激しい出来物はできたことがなかったその人が、
なぜここまで激しい、しかも1週間以上治ってこないような状態になったのか…この原因も運気です。
来年2023年は火運不及(かうんふきゅう)の年になります。
冬は来年の運気の影響も重なって出てくる方が多いのです。
火運は心であり、舌です。ここが不足、弱りが出やすい年になりますので、
その影響を受ければここまで激しい状態になるのかと非常に勉強になりました。
2023年の火運不及の年の運気については、また近々このブログで書きたいと思います。
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1日分で劇的に良くなったとご報告頂いたので、ブログにも残そうと思い書かせて頂きます。
先日店頭にご相談に来られた40代の男性、相談内容は耳鳴りでした。
耳鳴りは両耳で、こもったように耳が遠くなり聞こえにくい、
数日前から始まり、治る気配がないので漢方薬で治したいとご来店
今まではもっと軽い感じで一時的になる耳鳴りはあった(数時間や長くても寝れば治るくらいの耳鳴り)
数日をまたいでも治らないのは初めてで、良くなってくる兆しもなくて不安
自分では思い当たることがない
その他で気になる症状は無し
さて、耳鳴りに限ったことではないのですが、上記のようにご本人様の思い当たることもなく、なぜなったのかが分からず症状や病気になってしまい、ご相談されるケースが大変多いのが現状です。
特に漢方薬を出す上では、原因が分からなければ的確な漢方薬を選ぶことが出来ません。
なぜなら漢方薬は自然治癒力が正しく働けるように助ける薬なので、その原因が何であるか、体の状態がどうなっているかによって全く異なる漢方薬になるからです。
見えない情報や状態は、問診で聞き出しながら予測していかなければいけません。
色々と問診していくと
・少しずつ気温が下がってきている中で、寒さを感じる時がある(朝晩)
・症状が出始めた時期は冬に入ってから(2022年11月7日から冬入り)
・朝方、トイレに2〜3回起きることがある(寝る前に果物)
・週に数回ビール1本ほど飲むときあり
・朝起きた時、肌寒い感じがして、起床した時から耳鳴り有り
水と冷えが関係しているように見えたので、冬にも入って気温も下がり体表部の陽気も不足してきているのを補うのにも良いと考え、桂姜棗草黄辛附湯(けいきょうそうそうおうしんぶとう)を7日分お渡しいたしました。
7日服用後ご来店
あまり変化なしとのことでした。
何か体調変化、普段と変わったところがないかどうかを再度お聞きしてもないと言われます。
自然の中での体の変化を考えると、冬は腎の働きが高まり、心の働きが抑えられやすくなります。
心の働きは血液の循環であり、血液の循環は体内の熱を体全体に行き渡らせる働きです。
この働きが弱りやすい季節に入ってから、この人の耳鳴りは起こっています。
外気温が下がり皮膚が冷えている感じはありますので、桂姜棗草黄辛附湯で効かないとなると、血に絡んでいる可能性が考えられます。
血に絡めば、お腹の具合で便が緩くなったり、ゴロゴロしたり、手足が冷え上がってきたり、頻脈・動悸・不整脈など心臓にもトラブルが起こりやすくなるはずです。
改めて確認してみると、そういえばお腹の調子が最近悪かったという事を言って頂けました。(手足の冷えは無し)
いつもなら下痢しないのに、少し下痢(水みたいな感じではなく、渋り腹のような感じ)になったとのことでした。
これは、水剋火(すいこくか)で心血(しんけつ)の働きが弱って起こっていると予測できます。
心の裏は小腸であり(臓腑の関係)、太陽小腸経(たいようしょうちょうけい)で見れば耳の前に「聴宮穴(ちょうきゅうけつ)」がありますので、冷えてめぐりが悪くなれば耳の働きは落ちることがあります。
こう考え、当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)を7日分お渡しいたしました。
そうしたところ、その日すぐにご連絡があり、1包飲んでしばらくしたら知らない間に耳鳴り治っていました!!ありがとうございました!と大喜びのご報告を受けました。
ご自身では気付いていなくても、体は自然の流れ(四季・土用)の影響を受け、何か小さいサインを出しているものです。
改めて漢方薬の素晴らしさを実感できた症例でした。
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今回は久しぶりに症例を書かせて頂きたいと思います。
なかなか書く時間がなくて、症例の紹介が出来ていませんでしたが、
つい先日、身近な関係の子供さんが高熱を出され、
漢方薬で劇的に良くなった症例をご紹介させて頂きたいと思います。
その子供さんは5歳の男の子です。
急に朝ぐたっとなって、母親が熱を測ったところ39℃ほどあったためびっくりして、
すぐ病院でコロナの検査をしたところ陰性で、解熱剤(アセトアミノフェン)の飲み薬が出されたようです。
解熱剤を何回か飲ませてはみたものの、そこまで解熱ができず、子供がぐたっとしているということで
夕方、一緒に飲ませられる漢方薬はありますか?と問い合わせを頂きました。
状態をお聞きすると
のどの渇きはなく、ずっと横になっている
熱が38℃を切ることがない
汗は出ていない
せきや鼻水はない
食欲無し、朝から何も食べない
原因、思い当たることもなしとのことでした。
冷たい物は普段と比べて取っていないが、強いて言えば寝る時にクーラーをかけていて
朝方少し寒いと自分自身が感じたのでもしかすると冷えたのかもしれないとのことでした。
風寒を原因として、麻黄湯を飲むようにお伝えいたしました。
翌日の朝お電話を頂いたところ、まだ熱が下がっておらず、食欲もなく昨日と同じでぐたっとしているということでした。
汗を確認した所、汗が思ったほど出ていないということでした。
皮膚は触ると熱がこもっていて熱いということでした。
でも汗が出ない、麻黄湯を飲んでも出ていない、これをどう考えるかです。
実際に麻黄湯は毛穴を広げて発汗作用がある漢方処方ですが、
麻黄湯で発汗しない、できない人で表の原因が大きい場合は桂枝湯で発汗できる人がいらっしゃいます。
こういう人は脾胃の力と冷え(生姜・甘草・大棗)、表の陽気不足、皮膚のもつれ等が要因と考えられます。
この子の場合も昨日からほとんど何も口にできていないので、
コンクレバン、瑞芝などのドリンクを飲ませてあげることはお伝えいたしました。
また状態をお聞きしている中で、長袖長ズボンはしているものの、ずっとクーラーの部屋にいる、
寝る時もクーラーの部屋とのことで、汗がかける環境にないことが伺えたので、
その時の気温を考慮してもクーラーは止めてもらい、汗をしっかりかけるようにすることを説明させて頂きました。
そのうえで状態を考えると、皮膚の裏の熱が強いため汗としての陽気の発散がうまくできていないと考えられました。
そこに石膏を使い、発汗するに必要な脾胃の力を高める生薬が入っている発汗剤である桂枝湯(半量より多め)と
麻黄湯(半分より少なめ)の助けがいると考えました。
生薬構成から行くと、大青竜湯(だいせいりゅうとう)のような感じになります。
ただ5歳の子供で、昨日から何もほとんど食べれていない状態を考慮して、量と生薬構成を加減しなければなりません。
違う処方から表現すれば、桂麻各半湯(けいまかくはんとう)に石膏が入ったような、
もっと細かく言えば桂枝二麻黄一湯(けいしにまおういちとう)加石膏(かせっこう)湯のような処方です。
朝イチでお薬を取りに来られ、すぐ帰宅後この漢方薬とコンクレバン、瑞芝を飲ませてあげたようです。
お昼頃に私の方から電話でご様子をお伺いさせて頂きました。
そうしますと、朝は漢方薬とドリンク剤だけで病院の解熱剤は飲ませていないが、
汗がしっかりと出てさっき測ったら36.7℃で熱が平熱に戻り、すごく元気になって、うどんを2杯食べました。
今は走り回ってます、とのことでした。
これを聞いた時に、私自身も驚きました。
私は病院の解熱剤も一緒に飲ませてあげて下さいとお伝えしたのですが、
お母さんは漢方薬だけで様子を見たいと解熱剤は飲ませていなかったのです。
それでも予測していた通り、出なかった汗がしっかり出て、その子供自身の自然治癒力が働き、
ものの1〜2時間で自身で解熱できたのです。
本当に漢方薬というものはすごいですね…。
つっかえている所を取ってあげて、体が治そうと頑張っている状態を捉え助けてあげる
適切な処方で助けてあげれば本当にその人の治癒の助けになるものだと、また再確認することが出来ました。
昨日その方がお礼にご来店された時に、その後の経過を聞いたところ、
あれからずっと元気で、一度も熱がぶり返すこともなく、
病院でもらった解熱剤も一切飲まずに治りました、ありがとうございました。
と言って下さいました。
今の時期39℃の高熱が出ると、大抵はコロナ陽性と診断される人が多いので、
もしかするとその時は陰性でも、数日後には陽性になる可能性があったかもしれません。
しかし、コロナ陽性でもコロナ陰性でも、漢方薬は変わりません。
その人のその時の状態と病の原因に対して助ける目的で漢方処方を考えますので、
病名はあまり重要ではないのです。
もし今、何かお困りの症状や病気があり、
なかなか思うように改善していない状態がございましたら、
お気軽にツルガ薬局までご相談くださいませ。
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先日報告頂いた、妊婦さんのお腹のハリが劇的に良くなった症例をご紹介いたします。
妊娠6カ月になりお腹も大きくなって来られた30代後半の女性の症状です。
ご夫婦でご来店され、お腹のハリが和らぐような漢方薬はありますか?とのご相談でした。
詳しくお聞きすると、毎日お腹が張るわけではなく、
原因が分からないけど昨日から右側の鼠径部(そけいぶ)の上の辺り
(下腹らへん)からみぞおちの右の辺りにかけて張る感じがある、
とのことでした。
今までも何度か同じ症状は出ているが、原因・思い当たることはなく、
数日安静にして自然に落ち着くのを待っているとのことでした。
漢方薬を出すときには、やはり原因が非常に大切です。
妊婦さんの血が弱ってくることによってお腹が張っているのか、
冷たい物を取って冷えてお腹が張ってきているのか、
逆に熱がこもって、気がこもって起きているのか、
それとも水の停滞があるのか、
原因と状態と体質が分かることで私は漢方薬が決まります。
症状や病には、必ずきっかけや原因があります。
思い当たることがなく、自身でも気付けないケースがほとんどですが…
ご夫婦と話している中で、ここに具体的に書くことはできませんが、
「不安感」が根元にあるように感じました。
病院の受診日が近づいてくると症状が起きやすくなるようでした。
これはご夫婦ともに自覚されておりませんでした。
(言われるとそうなのかな…というくらい)
本人の中でもはっきりと意識できないほどの、
潜在意識の中にある不安感です。
何回目の出産であっても必ず不安感はあろうかと思います。
気持ちを前向きに強く持って、心配なことや
マイナスなことは考えないように、気にしないように
されておられる気丈な方でしたが、やはり体には
その影響が現れてきます。
心と体は一つです。
この方の場合は、潜在意識の不安感が恐怖感に変わり、
子宮・腎から上に気が突き上がって、
お腹のハリが起こっているのではないかと捉えて、
漢方薬をお出し致しました。
そのご夫婦が帰宅されてから、すぐにお電話がありました。
「帰って1包飲んで、まだ10分も経っていないと思うんですが、
症状が取れました!!
お腹のハリがなくなりました!!こんなに効くんですか!?」
ご報告頂き、大変嬉しく思いました。
この漢方薬で効いたということは、やはり上記に書きました
ような原因・状態があったという事で間違いないと思われます。
数日は漢方薬を飲みきり、緊張や不安を感じられるようなら、
また継続して飲んで下さい、とお伝えさせて頂きました。
漢方薬は状態に合っていれば無理やりなことはしません。
その人自身でバランスを取り治していく時の手助けを
してくれるものです。
この方のようにちょっと漢方薬で手を添えてあげるだけで
症状が落ちつくこともあります。
もし何かお悩みの症状がございましたら、
ツルガ薬局 松原店までお気軽にご相談下さいませ。
ちなみに、この方にお出しした漢方薬は、
漢方薬の教科書 金匱要略(きんきようりゃく)の
奔豚気病(ほんとんきびょう)編に記載されている処方になります。
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先日の症例をご紹介いたします。
2022年(木運太過)4月19日ご来店 30代女性
先週(4/11〜4/16)くらいから軽いムカツキ、気持ち悪さがある
それと同時にスマホを見ていると10分くらいするとふわっーとしてきて、目を開けて見ていることができなくなる
耳の後ろから後頭部全体にかけてボワーンとしている感じ
以前はメニエールになり耳鼻科でイソソルビドなどが処方されしばらく通ったがなかなか良くならなかったことがあり
その時は目をつぶっていてもグルグル回っていた、今回はそこまでではない
原因、思い当たることをお聞きすると、ここ1カ月子供や職場のコロナ関係で、自宅待機や検査等で子供とこもっていることが多く疲れたとは感じるので、これかなぁとのこと
生理をお聞きすると先週がちょうど排卵
舌→濡れて赤
胸のもやもや、落ち着かない感じあり
便→どちらかというと緩いかもしれないが普通
さて考察するに、病が起こり始めた時期から考えると、春の土用(2022年4月17日から)の影響が考えられます。
今年は木運太過(もくうんたいか)の春の土用ですから、胃腸症状を訴える人が大変多くいらっしゃいます。
この方もその影響を受けていると思われます。
長くスマホが見れないということは、「久視(きゅうし:長くものを見る)血を傷り 心を労(ろう:疲労)す」から考えれば、心(しん)の気の衰えと考えることもできますが、この人の場合は目の状態が現れる肝のエネルギー不足と考えました。(いくつかの理由からこう考えたのですが、専門的になるのでここでは省略させて頂きます。)
始めの方は、土用と木運太過の影響で脾胃(ひい:膵臓・胃を中心とする消化器系)に気がこもっていると考え、この気の痞えを取ってあげることを考えておりましたが、舌の状態を見た時に濡れ具合が気になり、大元の原因がただの気の痞えとは違うと感じました。
そこで、のどの渇きや水分の取り方を確認したところ、すごくのどが渇き、さっきも2杯お茶を飲んだところ、だからトイレもすごく行く、ということが分かりました。
これで全てがつながりました。
土用の時期は、脾胃に力をもつために腎の働きが抑えられやすくなります。腎は水をさばく場所です。つまり土用の時期は体内の水はけが悪くなります。
ご自身では小便の出はよく、飲んだ分だけはトイレに行っているとは表現はされているものの、自分で気付いていない処理できていない水分が脾胃に滞っているのです。
そのため、その水が邪魔をして肝の気のめぐりを悪くして、肝が主(つかさど)っている目に症状が出ているのです(長く見ることが出来ない)。
またこの水が原因で、「耳の後ろから後頭部全体がボワーンとしている」という症状がでていると考えられます。
漢方用語では「冒(ぼう)、又は頭冒(ずぼう)」と表現されます。
水から来る冒には、半夏(はんげ)や沢瀉(たくしゃ)、白朮(ビャクジュツ)、五味子(ごみし)、などの生薬がよく効果を現します。
脾胃の周りに水分があるために気持ち悪さ・ムカツキも感じるのです。
ここの働きを助ける漢方薬を3日分お分け致しました。
帰り際に養生法をお伝えしている中で甘いものをとっていないかお尋ねすると、甘い物が最近非常に食べたくなりよく取っていた、とおっしゃられておられました(昨日すごくシュークリーム食べたくなり食べた)。
土用に甘いものを取り過ぎると、偏りが激しくなります。病の原因になりやすいのです。
3日後来店(4月22日)
「店で1包飲んで帰ったらすぐに楽になり、その日は寝る前にもう1包飲みました。
もう翌日には気持ち悪さも、頭のボッーとした感じも取れて、スマホも10分以上見ても大丈夫になりました。
仕事で昼の分を飲めなかった時は、やはり少しムカツキが出てくる感じがするが、飲めばすぐ楽になります。
今日は漢方薬もなくなり飲んでいなかったのですが、スマホを見ているとまたムカムカしてくるので同じものを下さい。」
とご報告いただきました。
以前からよく尿は出ていたが、漢方薬を飲むようになって私が考えていた通り、1回の小便の量が更に増えたとのことでした。
同じ漢方薬を4日分お渡しいたしました。
4日後にご来店され、「もう症状は全くないのですが、まだ飲んでおいたほうがよろしいですか?」と質問されたので、一旦やめて様子を見るようにご説明させて頂きました。
やはり原因とその人の状態をきちんと捉えて、なぜその症状が出てきたのかをきちんと理解することが大切ですね。
今年はゴールデンウィークの5月5日までは土用になりますので、体調管理には十分にお気を付けください。
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40代の女性のご相談です。
昨日から始まった生理痛と、それに伴う胃が下から持ち上げられている感じがして吐き気がするというご相談でした。
いつもは生理痛や生理症状はほとんど感じないのに、今回は症状があり、アセトアミノフェンの痛み止めを服用しているが思っているほど効いてこないので何か漢方薬作って頂けませんか、というご相談でした。
この方は以前も漢方薬をお出ししている方なので、体質は分かっている方です。
舌を見せて頂き、周囲はうっすら濡れてはいましたが、中心から大部分は乾いていて、うっすら白い苔がありました。
生理の時は、血液が血室(けっしつ:血をため込む部屋)に集まるため、熱がこもります。
その熱のために、生理痛と胃が下から持ち上げられている感じがして吐き気がするという症状が出ていて、この熱の痞えがあるがゆえに気血のめぐりが悪くなり、アセトアミノフェンの痛み止めが十分に効いてこないのです。
この血室の熱を取る漢方薬を2日分お渡しいたしました。
2日後にご来店。無事治まりました、とご報告頂きました。
詳しく経過を教えて頂けたので、書かせて頂きます。
「漢方薬をもらってから、帰宅後すぐに1包服用し、3時間くらいして胃が下から持ち上げられている感じと吐き気が楽になり、もう一度寝る前に漢方薬と痛み止めを服用したところ、今まで効いていなかった痛み止めがスッと効いてくれてそのまま眠れました。翌日には生理症状も気にならないくらいまで回復し、痛み止めはもう飲まずにすみ、残りの漢方薬だけ飲み切るようにしました。」
今年は木運太過(もくうんたいか)で、今は春です。
血室である木運の肝に特に熱がこもりやすくなります。
普段とあまり変わったことをしていなくても、体の状態と働き方は自然と共に影響を受けていますから、いつもは無い生理症状もこの時期なので現れてきたのだと思われます。
何かお困りの症状がございましたら、いつでもツルガ薬局までご相談下さいませ。
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30代女性の不妊症のご相談です。
昨年の9月から妊活を始めたが妊娠せず、11月から病院にも受診し治療している。
生理は今まで28〜30日でしっかり来ていて、止まることも乱れることもなかったのだが、11月に初めて生理が止まって来なかった。
自分では恐らくストレスのせいだと思う。(コロナの予防接種はしていない)
生理が止まったときには病院から排卵誘発剤が処方され、現時点では生理はあり。
年齢的にも、早く妊娠したい気持ちがあるので、なんとか漢方薬で妊娠したい、とご夫婦で来店。
体全体のご様子と体質、食生活などをお聞きして、体質に合った漢方薬(妊娠しやすくなるように体を調え手助けする目的)をご提案致しました。
服用して1カ月ほど経った頃、お電話で妊娠できたことのご報告を頂きました。
バランスを調えるだけですぐにご自身で妊娠できる体力のある人は、結果が出るのが早いですね。
最近増えている不妊症のご相談では、体力のない人が非常に多い印象を受けます。
体の力が無いと、漢方で働きを助けて調えるだけではなかなか結果はすぐに出ません。
不妊のご相談に来られる方々は、病院にもかかっている人が大部分です。
病院に受診して頂くことは悪いことではないですし、利用して頂くことは私は賛成です。
ただ、病院にかかってさえすれば病院が妊娠させてくれる・治してくれるということではありません。
病院では体作りをしてくれません。体作りは日々のご自身の食事や生活の積み重ねで作られていくものになります。
漢方薬もその体作りの一つとして大変役立つものになります。
体作りのご相談は、ツルガ薬局の得意とするところになります。
もしご自身で精一杯されていてもなかなか改善が見られないときや、より早くより良くしていきたいとお考えの方は、お気軽にご来店、ご相談下さい。
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先日の症例をご紹介させて頂きます。
娘さん(大人)の咳のご相談です。ご来店されたのはお母様です。
病院ではフスコデとカルボシステインが処方され、服用しても全く咳が治まらないというご相談です。
数日前から起こり、回復に向かう様子もなく、夜特に咳き込みがひどく寝られないほどでとても辛そうだということです。
通常は、フスコデなどの咳止め薬は服用すれば数時間は咳の回数を抑えるように作られているのですから、個人差はあれど服用後数時間は少しでも軽減されているはずだと思われますが、お母様がおっしゃられるには効いているようには見えないほど変化が無いとのことでした。
咳止めに限らず、解熱剤や痛み止め、風邪薬であっても、服用して薬の効果を出させるのは、その人自身の力になります。体は治そう、治そう、と頑張っていますから、これが自然治癒力になりますが、この治す力がきちんと働きやすい状態にしてあげることが大切です。
いくつかの問診で、冷たい物を飲んで胃と肺を冷やしている状態が伺えましたので(生理にも絡んでいませんでした)、肺を温めて冷えた水分のさばきをよくする苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)という漢方薬と咳止めを2日分お渡しさせて頂きました。
この苓甘姜味辛夏仁湯にした理由は、店頭に来られていたお母様の体形と体質から推察して決めました。
3日後に再度ご来店され、とても良くなった(2日で10の症状が3くらいになった)ご報告と、あと少しで完治しそうなのであと2日分欲しいとのことでした。
ちなみに、漢方薬と一緒に服用して頂いた咳止め薬は、フスコデとほぼ同じ薬です。
フスコデとカルボシステインでは全く変わらなかった咳が、上記の漢方薬と合わせることで効き目が発揮されたということになります。
人の体というのは、何か弱ったり偏ったりしていれば、必死に元に戻そう、治そうと頑張っています。この働きがスムーズに働けるように、原因と状態、体質をとらえて漢方薬を利用して頂くことは、非常に有意義なことだと思います。もしスムーズに回復していない、効くべきところが効いてこない、というお悩みがございましたら、ツルガ薬局 松原店までお気軽にご相談下さいませ。
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