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長引く頑固なしゃっくり 
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    今日は、頑固なしゃっくりが意外な処方で治ったので、その症例をご紹介致します。

     

    2017年8月7日(立秋)

    60代男性 しゃっくりが長引いてつらい 柿のへたや、病院での漢方薬など服用したが治らない

    10年程前にもしゃっくりが出て治るまでに数ヶ月を要した(その時治った漢方薬処方名は覚えていないとのこと)

    今回ははっきり覚えていないが数か月前からしゃっくりが出だして、ずっと治らない

    聞くと胃を冷やしているような状態が伺われたので、まずは呉茱萸湯(ごしゅゆとう)を3日分処方。

     

    しゃっくりの様態を考えるに、基本的に薬局に来られる方のほとんどは冷えからくるものが多いです。胃を温める人参湯や呉茱萸湯、橘皮湯(きっぴとう)、小半夏湯(しょうはんげとう)、橘皮竹筎湯(きっぴちくじょとう)、六君子湯(りっくんしとう)などの処方を中心に考えていくのですが、それ以外で起こるしゃっくりもあります。

    傷寒論(しょうかんろん)・金匱要略(きんきようりゃく)にも書いてありますが、熱から起こるしゃっくりが書いてあります。胃熱から起こるしゃっくりには承気湯類(しょうきとうるい)を使いますし、半表半裏(はんぴょうはんり)のちょうど横隔膜あたりの熱や気のこもりからのしゃっくりには柴胡剤(さいこざい)がよく効きます。またそれ以外でも、その方自身の病態に応じて、漢方処方は変わってくるのは当然です。

     

    8月17日

    「またしゃっくり出てきた・・・」とおっしゃられ、再度ご来店。

    聞くと、呉茱萸湯はしゃっくり出たときだけ飲んでいるとのことでした。では飲んだ時はどうかと聞いてみますと、呉茱萸湯を服用するとしゃっくりは一時的によくなるとのことでした。数時間治まり、また出てくる、という感じらしいのです。3日分(9回分)を約10日で飲んでいますから、1日1回は飲んで一時的に抑えている、ということになります。ということは呉茱萸湯は効いているけど、治りきるところまではいっていないということです。

     

    養生法をきちんと再度お伝えして呉茱萸湯を処方させて頂こうと考えながら、もう少し詳しくお聞きしていきました。

    ●お仕事は、交通整備のようなお仕事で、炎天下の外で朝から晩まで(ここ最近は朝8時頃から夜11時頃まで)

     大量に汗をかくお仕事

    ●ペットボトル2Lほどに清涼飲料水を入れて水分補給している

     クーラーボックスに入れて冷やして持っていくが、飲むころにはぬるくなっている

    ●大便は毎日気持ちよく出る

    ●小便も普通にきちんとでる

    ●みぞおちの痞えや肩こりやめまいなど、その他の症状はなし

    ●食欲もあり

    ●顔色はよく日焼けされていて、体格もしっかりされて丈夫そう、目は少し充血(横顔に際線あり)

    ●以前病院で十二指腸にポリープがあると言われたことがある(これがしゃっくりと関係あるのではないかと気になっている)

    ●お盆の最近らへんは特に仕事が忙しいらしく、睡眠不足もありそうな様子

    ●果物やアイス、冷たい物は極力控えて取っていない

    ●ご自身ではしゃっくりのでやすい時間帯や、どうすることでしゃっくりがひどくなるか、楽になるかは分からない

    ●舌 → 苔なし 乾いている感じもなく、ベトベト濡れている感じも無し、比較的赤く鮮やかなピンク色

    ●唾や泡なし、鼻水も無し

     

    この方をパッと見た私の第一印象は、小柴胡湯(しょうさいことう)でした。しかしお話ししていると少陽経(しょうようけい)や肝経(かんけい)への熱のこもりがありません。舌の状態とこの方のお仕事・生活環境を考慮し、茯苓飲(ぶくりょういん)がいいと感じました。茯苓飲は、簡単に言いますと胃に水が多く冷えて弱っている、全体的には冷え弱りがあるが部分的に熱もこもっている状態に大変良く効きます。

    お仕事柄、水分を良く飲みますから、いくら常温と言えども水分は熱を奪いますから、胃が冷える原因にもなります。汗のかき過ぎや睡眠不足は胃の弱りにもつながり、長い炎天下での立ち仕事は腎を疲れさせ、体内の水分処理を弱らせます。胃は「水穀(すいこく)の海」と言われ、胃は水が豊富にある場所になります。胃が冷え弱れば飲んだ水分は、胃に滞りやすくなります。また胃に滞ったものは、よく肺にその停滞が運ばれ、肺の出口である鼻や皮膚、大腸などにその影響が出やすくもなります。胃と肝臓は中焦(ちゅうしょう:胃の入り口から出口近辺までの位置にある消化器系の働き)に位置し、互いに助け合い・かつ調節したり密接な関係にありますから、肝臓にもその影響が伝わり、膈気(かくき:胸腹上下の調和を主る気)が弱りしゃっくりにもなります。

     

    茯苓飲は、

    茯苓(ぶくりょう)甘平 <主薬>

    橘皮(きっぴ)辛温

    生姜(しょうきょう)辛温 <佐薬>

    枳実(きじつ)苦寒

    白朮(びゃくじゅつ)苦温

    人参(甘微寒) 

     

    橘皮と生姜で胃を温め、茯苓と白朮で停滞した水をさばき、人参で弱りを補い、弱るがゆえに熱のこもりが出来るので枳実で熱を冷ましてしこりを消し、人参の甘微寒で熱を冷まし元気にします。

    茯苓飲を3日分お出ししました。

     

     

    8月22日にお電話がかかってきました。

    「もう症状はないのですが、まだ続けて飲んだ方が良いのでしょうか?」

     

    ご様子をお聞きすると、8月17日に1回服用し、翌朝起きたらしゃっくりは止まっていた。18、19、20、21、22日と1回もしゃっくりは出ていない。数回しか飲んでいないが、今まで一時的には治まることあってもまたすぐ出てきたが、今回は出てこない。食欲も以前もあったがもっと調子良くなった。

    そして、私が一番関心した一言を言って頂きました。

    「呼吸が楽になりました!」

    とおっしゃられたのです。今まで一言も呼吸が苦しい、息苦しいなどは言っておられませんでした。恐らくご本人様も自覚されていなかったであろうと思われます。私は茯苓飲の作用をお電話で説明し、様子を見ながら服用して頂けるようにお伝え致しました。

     

     

    この呼吸が楽になったというのは・・・、そうです、条文に書いてあるのです♪

    金匱要略の痰飲咳嗽病(たんいんがいそうびょう)33条

    「外臺(げだい)茯苓飲 心胸中に停痰宿水(ていたんしゅくすい)有りて自ら水を吐出し 後心胸間虚し気満ちて食する能(あた)わざるを治す 痰気(たんき)を消しよく食せしむ」

     

     

    簡単に訳しますと、外臺という書物に載っている茯苓飲は、心臓や胸の辺りに痰が停滞している、痰というのは処理できない水と考えて頂けると分かりやすいです。そのために水が胸の辺りに宿っている、滞っているということです。胸の辺りには、心臓もありますし、心臓を挟むようにして両側に肺があります。肺は呼吸を主っておりますし、気を蔵しております。心臓は血脈を主り、血液を正常に流すために働いております。そこらへんに水が停滞しているということです。水が満ちて停滞して苦しいので、ついには水を吐き、吐くと陽気も出ますし、吐いた後は虚し(弱るということです)、気を正常に巡らすことが出来なくなってきます。気が滞れば気が満ちてきて、食べることが出来ない、元気に胃が動けないためです。茯苓飲はこういう方を治す、茯苓飲を飲めば滞った水が取れてよく食べれるようになる、という事が書いてあります。

     

     

    心胸中の停痰宿水が取れたので、肺の呼吸が楽になり、息苦しさが無くなったのです。

    本当に傷寒論・金匱要略は何でも書いてありますね・・・。改めて勉強になりました(-ω-)/

     

     

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    | 漢方 | 19:13 | comments(0) | - |
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