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白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう) その効き目神の如し
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    JUGEMテーマ:漢方

     

    成長が少し遅く、寝返りはするが(ずりばいは少し)座ったり、立つことはまだできない5歳の男の子のことを書かせて頂きます。

     

    食事はほぼ全て低栄養児用のミルクで、他の物を食べようとするとえずいてしまう。

     

    2017年(木運不及)6月28日(水曜日)午後11時頃

    急に初めてのてんかんを起こし、救急で病院へ運ばれる。担当の医者から後から聞いた話では普通のてんかんならダイアップ坐剤などのてんかん薬で10〜20分で落ち着くのに、5〜6個も突っ込まないと治まらなかったみたいで、かつそれでも治まらず筋弛緩剤の注射をして、朝方の3〜4時頃ようやく落ちつく、そのあと1〜2日間集中治療室で治療。次てんかん発作が起こると止めれるかどうかわからない、自身の医者人生の中で一番程度の重いてんかん発作だったことを告げられる。後遺症も残る可能性のある事を告げられる。

     

    親しか集中治療室には入ることはできないが、子供の様子を聞くと最初はチューブなど差し込まれていたが、チューブは外せるようになった。医者からはケイレンからの誤嚥性肺炎も少しあったため抗生剤も点滴の中に混ぜていることを告げられる。口の周りに白い泡みたいなものが見受けられた、唇も乾燥している、てんかんやケイレンは今は治まり、肺炎の心配があったため、人参湯の煎じ薬を親に渡す。ティッシュに含ませ口の所から数滴飲ませた。その日の夜には白い泡は無くなった。

     

     

    その後、様子も落ち着き集中治療室から通常病棟へ移り、約1週間入院。脳波やMRI、CTなどの検査を行う。ケイレンからの誤嚥性肺炎に対する抗生剤の点滴から、抗生剤(パセトシン)の内服薬に変更(細菌性炎症マーカーCRPは少し高いくらいで、血液検査の結果的にはNaや尿素窒素などの数字もいたって正常で脱水の可能性などもない)。てんかん発作が起こらないようにバルプロ酸シロップも1日2回服用。男の子本人は通常病棟に移ってからはすこぶる元気で、検査結果も特に特徴的な異常は見られず、心配された後遺症も見られなかった。

     

    通常病棟では、肺中冷(肺を中心に温め陽気を回復させる)を目的に甘草乾姜湯(かんぞうかんきょうとう)をミルクに混ぜて服用してもらう。おしっこの出が悪く、オムツが濡れていない時や男の子の喉の渇きが激しい時は五苓散(ごれいさん)をミルクに混ぜてもらった。順調に回復し7月6日に無事退院。

     

    さて、両親もその家族も、そして医者も誰もが思うことは、もう二度とてんかん発作を起こさせたくないということ。

     

    一番大切な再発予防。病の原因、発病状態を考えるに、担当医も今までの経験や色々な治療方針のマニュアルなど調べてはくれるものの、やはりはっきりとは分からない様子。バルプロ酸も服用している方が良いとは言うが、服用していたら起こりませんとは言えない、と言われる。通常は風邪をひいていたとか、下痢していて体調が悪かったとか何かあるのだが、両親も思い当たることはないという。

     

    てんかん発作を起こした6月28日、そしてその前の様子を細かく振り返ってみる。正直私も最初は分からなかったが、7月8日に出した白虎加人参湯で劇的に効いたことで、この子のてんかん発作の状態と原因の予測が出来ましたので、それをここに書きたいと思います。

     

    6月27日(てんかん発作を起こす前日)

     いたって元気、毎日お風呂に入れてあげれてないのだが、この日は父親と一緒にお風呂に入る。湯船は41℃くらいでいつも通りの温度。お風呂あがりはクーラーの効いた居間で(もちろん風が直で当たらないように、体が冷えないように速やかに着替えさせて十分配慮)いつも通りミルクを飲む。

    6月28日(てんかん発作を起こした日) 

     この日もいたって元気。前日と同じように父親が体を洗い、一緒に湯船に浸かる。お風呂から上がったら、同じように居間でミルクを飲ます(21時〜22時頃)。23時頃に、ひきつってケイレンしているところを父親が発見。頭の場所のシーツはびっしょり大量に濡れていて(おそらく汗)、両足は冷たかった(ばんせき湯のような感じか…)。抱っこして呼びかけるも、白目で目が合わず、口も引きつり声も出ない状態。すぐに救急で病院へ。

    7月6日(退院日) 

     入院中お風呂に入れてあげれていなかったので、約1週間ぶりに父親がお風呂にいれてあげる。いつも通り居間でミルクを飲み、そのまま就寝。その日の夜中ずっと「うーうー」うなるような、譫語(せんご:うわごと)のような状態になる。ミルクを欲しがり、飲んでも飲んでもずっとうなる。今までこのようにうなる時は、お腹がすいている時か、熱がある時、便が出ていない時。夜中からミルクを何度も飲みたがるもので与えているのだが、飲んでは吐き、飲んでは吐き苦しそう。五苓散はミルクに混ぜているという。小便は出ている。便は入院中は抗生剤服用のために泥便が出ていたが、退院後は服用していないためまだ出ていない。手足やおでこ熱く、汗もでる。以前も服用していた調胃承気湯(ちょういしょうきとう)をミルクに混ぜて少し落ち着く。

     

    7月7日

     この日はお風呂には入っていない。夜中も前日と同じようにうなり、とにかく喉が渇くのかミルクを欲しがり大量に飲む。小便はいつもの感じでは出ているが、それ以上に飲むので胃がパンパンで腹水のようになる。胃からお腹のあたりがパンパン。前日と同じように手足や顔も熱く、便は前日の調胃承気湯を飲んでもちょびっとしか出ていないとのことだった。

    7月8日

     五苓散は飲ませているが、消渇(しょうかち:飲んでも飲んでも喉の渇きが治まらない)が止まないことから、大煩渇(だいはんかつ:ひどく悶え渇する状態)として白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)を考える。

     

    ただここで、この子の状態を考えると、痙病(けいびょう:血が弱く筋肉が痩せてひきつる状態)が根本にあり、1歳の時には白朮附子湯(びゃくじゅつぶしとう)や、四逆加人参湯(しぎゃくかにんじんとう)で陽気を補っていたお子さんであった。白虎湯は、知母(ちも)石膏(せっこう)剤です。三陽の合病で使う処方、いわば表から裏まで全て熱の時にその熱を冷ますために使う処方です。もし内熱の無い人に使えば、状態を非常に悪くします。

    しかし、五苓散でも効いてこない、症状としては水逆(すいぎゃく:飲んだ水分を吐く)そのもので、普通なら効くはずです。譫語も調胃承気湯で以前は効いていたが、今回は効かない。手足や顔など触ると熱く表から裏まで熱がこもっている感じもする。渇して渇して、大煩渇がある。熱が体の内に極まってこもっているように見える。白虎湯の誤治(ごち:あやまった治療)には茯苓四逆湯を使います。白虎加人参湯は傷寒論・金匱要略の暍病(えつびょう)、つまり熱の極まりの病の所にあります。陽明病(ようめいびょう)の三陽の合病の条文ももう一度見ました。「・・腹満身重もって転側する能わず・・」この子はお腹がパンパンで、寝返りもうてない、まさしくこの状態、少量を朝一回ミルクに混ぜてもらい、午前中にもう一回、夕方にもう一回服用してもらいました。

     

    夕方、母親から電話があり、「治りました――!!」と喜びの声をお聞きしました。2〜3回目で、喉の渇きも落ち着き、うなり・譫語も無くなり、機嫌よく笑うし、胃からお腹がパンパンだったのが、今は触っても何ともないとのことでした。

     

    このことから考察すると・・・

    これまでもうなるように譫語することはあったが、入院中はずっと調子良かったものが、退院後に胃や肌肉に熱がこもってしまった、なぜなのか・・・、てんかん発作を起こした時もお風呂の後です。退院後も熱が胃と肌肉中心にこもって熱病になったのもお風呂の後からです。お風呂の状態を詳しくお聞きすると、シャワーがかかったり頭を洗う時も体がこわばり緊張したり、湯船に入ってしまえばリラックスしているみたいなのですが、お風呂から上がってもしばらくは体はポッポッと熱くなっていると。どなたでもお風呂上りは体はしばらく熱くなりますが、元々この子は、痙病、つまり血の力と筋肉量が少ないお子さんです。熱を運ぶのは血液であり、血液の養いを受けているのが筋肉です。筋肉は熱を産生する肝臓の状態が反映されます。普通の大人がちょうどいい温度(41℃くらい)であっても、この子に取っては湯船で温まった熱のやり場が無く(熱の受け皿である筋肉や血液・肝臓が弱いため)、内にこもってしまうのではないか、と考えました。てんかん発作のときも、熱のこもりにより陰陽が離れ、上に熱が上がり、足先は冷たくなり発作を起こしてしまった、退院後も熱が胃や肌肉にこもり白虎加人参湯のような暍病を起こしてしまったのではないかと感じました。そのことを母親にお伝えし、入浴方法をアドバイスいたしました。

     

     

    これからも一緒に経過を見ていきたいと思います。

     

     

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    | 漢方 | 10:47 | comments(0) | - |
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