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葛根湯の下痢とは違う厥陰病(けっちんびょう)の下痢
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    JUGEMテーマ:健康

     

    先日の朴庵塾(ぼくあんじゅく)セミナーで講義を受けている時、ハッと気付けたことがありましたのでご紹介させて頂きます。

     

    ちょうど厥陰病(けっちんびょう)のところで、今までも何回か厥陰病は勉強していたのですが、その10条を読んだ時にあるお客様の状態のことを言っていることに気づくことができて密かに感動してしまいました。

     

     

    10条

    「傷寒(しょうかん)一二日(いちふつか)より四五日に至りて厥(けっ)する者は必ず発熱し 前に熱する者は後必ず厥し 厥深き者は熱も亦(また)深く 厥微なる者は熱も亦微 厥之(これ)を下すに応ずるに而(しこう)して反(かえ)って汗を発する者は必ず口傷(やぶ)れて爛(ただ)れ赤し」

     

     

    その前に、厥陰病とは何なのかご存知じゃない方もいらっしゃいますので、簡単にご説明させて頂きます。

    本当に簡単に表現させて頂きますと、体が冷えて冷えて、体内の少ない熱が血に逃げ込んでしまい、肝や心包(しんぽう:心臓を包み込んで心の働きを支えているところ)を中心に影響が出てきてしまう病のことを言います。血を貯蔵しているところは肝であり、流すところは心(しん)です。血は熱を持ちますから、肝にも熱がこもり体のちょうど真ん中で横隔膜によって仕切られているところにも熱がこもり、上半身と下半身との気の巡行がうまくできなくなります。心臓などの上は熱く、下は冷える、また内は冷えて外側に熱が浮かんでくるような状態になります。

     

     

    さて、10条の条文の簡単な訳を書きます。

    「傷寒、つまり寒に傷られて、風邪をひいてから1,2日から4,5日になって厥する者、厥(けつ)とは、冷えのことです(厥は、冷える、気が上る、尽きる、などの意味として解釈される文字ですがこの場合は分かりやすく冷えと訳します)。ここでは厥陰病のことを説明していますので、体全体が冷えて陽気が乏しい人のことを言っております。体は冷えてくると、冷えに対抗するように熱を持とうとしますので、その対抗した熱が発熱として現れてきます。冷えと熱は本来はバランスを取り合うものですから、冷えが先に現れてその後熱が出てくるものもあれば、熱が先に出てその後冷えが出てくる場合もあります。冷えの程度が強ければその冷えに見合った熱も強く、冷えが弱い場合は熱も弱くなるはずです。冷えが出てきている場合、小便や大便などで下から抜いていかなければいけない時に、反対に発汗してしまうと口の中が赤く爛(ただ)れたり傷ついて痛みが出てきます。私たちの体は基本的に発汗は上半身の水が、小便大便は下半身の水が出やすいとされています。下から出すべき時に、反対に上から出す発汗をすると、特に厥陰病になるような陽気の乏しい体の冷えた人に無理やりなことをすると、簡単に気や体液のバランスが乱れてしまいます。陰陽の交錯する、外と内との境目である咽(のど)や口にその症状が出てくるのです。」

     

     

    この条文の特に最後の方の「・・・厥 之を下すに応ずるに・・・」という箇所なのですが、直訳すると冷えて下から抜いていくべきところを・・・、と言う意味です。冷えているのに下す・・・、一見するとおかしいと思われる方々も多いのではないでしょうか。本来、厥陰病のような冷えている人は、温薬で温めていかなければいけません。また、下し、例えば下剤などで便を出させる行為は基本的に熱やエネルギーを抜いていく行為になります。少しでも過ぎてしまうことで、容易に体内バランスが乱れてしまいます。この冷えを下していくべきケース・・・、私も今までは何となくのイメージでしか理解していませんでしたが、今回のあるお客様の状態がこれに当たるのではないかと感じました。

     

     

    83歳の痩せて色白な男性の症例です。

    2018年(火運太過)1月25日に病院へかかり、ペレックス(風邪薬)、カルボシステイン(痰切り)、デキストロメトルファン(咳止め)、セフカペン(抗生剤)が5日分処方されました。

    1月26日に奥様がご来店され、25日の時は微熱くらいだったのが、病院のお薬飲んでいたのに逆に今日は38.6℃で高くなってきてしまったので病院へまた行くべきかどうか、待ち時間も長いので逆に症状が悪化してしまうのではないか不安で、ということでした。

    ご様子をお聞きすると、しんどさはなく、食欲も今朝はおかゆを食べて、2杯も食べれた、その後食べ過ぎたせいか少し気持ち悪くなったみたいだが、しばらくして落ち着き今は家で寝ている、とのことでした。

    この方は以前に肺炎を起こし入院されたことがある方です。痩せていて陽気が少ない方です。なぜ今日熱が高くなってきたのか、そして今の状態と養生法、肺炎への注意をお伝えして、桂姜棗草黄辛附湯(けいきょうそうそうおうしんぶとう)を2日分差し上げました。家にあるコンクレバンと保元黄も一緒に服用して体力を高め、ご自宅で様子を見るようにお伝え致しました。

     

    後日、ご来店頂いたときに経過をお聞きすると、翌日は下痢が数回起こり、熱は知らない間に下がっていた、とのことでした。その下痢の様子を聞くと、水みたいな下痢でもなく、ドロッとした感じでもなく、あまりご本人様も分からない感じでしたが、下痢をした後ドカッ―としんどくなるような下痢ではないようでした。

     

     

     

    ちなみに葛根湯にも下痢があります。

     

    太陽病(たいようびょう)中篇の2条

    「太陽と陽明(ようめい)の合病(ごうびょう)の者は必ず自下痢(じげり)す 葛根湯 之を主る」

     

    風邪で表に邪(じゃ:体を害するもの)があり、胃が弱っていると胃の方に落ち込んできた邪を表に戻せずに下痢してしまうことがあります。ただその本は表にありますから、表を治す葛根湯で良い場合があります。

     

     

     

    漢方薬は、その人のその時の状態を考え、体が治りやすいように、邪を出しやすいように手助けするものです。この83歳の男性も汗で熱を出すのではなく、下痢で熱を出す方が、体に無理なく自然に治りやすかったということになります。病の位置や体の力の持ち方によって治り方が違うのです。この人のケースは、太陽と陽明の合病の葛根湯の下痢ではなく、厥陰病の「厥之を下すに応じる」の状態に当てはまります。つまり、桂姜棗草黄辛附湯により体の中の熱(38.6℃)の原因になっていた冷え(厥)を下痢で押い出すことができたという事です。冷えを下痢で出した、出すべき時の状態をこの方の治験例で知ることが出来ました。非常に勉強になりました(-ω-)/本当に傷寒論(しょうかんろん)・金匱要略(きんきようりゃく)って、すごいですね・・・。

     

     

    補足ですがもし仮に、桂姜棗草黄辛附湯ではなく、葛根湯を服用していたらどうなっていたか・・・。

    大変な状態になっていたと思います。例えば、条文どおりに「而(しこう)して反(かえ)って汗を発する者は必ず口傷(やぶ)れて爛(ただ)れ赤し」になっていたかもしれませんね。

     

     

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    | 漢方 | 19:16 | comments(0) | - |
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